「おそいひと」
【ストーリー】
電動車椅子で移動し、ボイスマシーンで会話を交わす。重度の身体障害者である住田(住田雅清)は介護者のサポートを受けて一人暮らしをしている。また、住田のよき理解者でもあるバンドマンのタケ(堀田直蔵)とつるみながら、平穏な日々を過ごしていた。
そんなある日、住田のもとに大学の卒業論文のために介護を経験したいという敦子(とりいまり)が現れる。そんな経験は何度もしているはずの住田の中で、自 身にも整理しきれない違和が蠢き始め、混沌とし、次第に狂気に身を委ねていく…。そして、住田はあるひとつの決心をするのだが…。すべては血塗られた結末 へと加速度的に収束されていく。
【作品について】
1999年春。柴田は、「NN-891102」を映画祭等に出品、自主上映しながら、次回作を模索していた。柴田は当時、芸術集団“DMT”に加わっており、そのメンバーで、阪神障害者解放センターの職員だった仲悟志が、上司の住田雅清を柴田に紹介する。
障害者の自立支援、障害者解放という住田の活動について話をする中で、障害者とは一体どういう存在なのか、障害者が犯罪を犯した場合、どんな扱いを受けるのかという話題になる。
住田の身体性と暴力、身体障害者と暴力をテーマにした物語は、充分成立するのではないかという発想が生まれ、住田も映画出演に興味を示したため、住田を主人公に、身体障害者が犯罪を犯すという映画の計画が持ち上がる。
この計画は、若手芸術家へのパトロネージュを主旨とする、『もちの木基金』からの協賛を受け、程なく撮影の準備が始まる。もちの木基金の主宰、寺内氏が、神職だったこともあり、近代以前、歴史的な日本の障害者観に関して、多くのアドバイスを受ける。
住田の存在感に負けない配役を目指し、介護者タケに、バミューダ★バガボンドのボーカル、堀田直蔵。女子大生介護者、敦子に維新派のとりいまりが決まり、人が人を呼ぶ形で、大阪芸術大学出身者を中心にスタッフが集結。
2000年夏、撮影に突入。冬には、ほぼ全ての撮影は終了するものの、少数のスタッフによる追加撮影と、編集作業がはじまる。
2002年、ライブドキュメント「ALL CRUSTIES SPENDING LOUD NIGHT 2002」を制作中に、MCRcompanyからシマフィルムを紹介された柴田が、シマフィルムに「おそいひと」の計画についてプレゼン。以後、難航して いた作業を、シマフィルムが支援することとなり、2004年、映画として完成する。
2005年冬に、東京フィルメックスにてプレミア上映される。それ以降、そのセンセーショナルな内容のため、日本での公開が難航する。海外の映画祭での高い評価が噂となり、2007年12月、ついに日本での劇場公開が決定した。
【スタッフ・キャスト】
出演 住田雅清
とりいまり、堀田直蔵、白井純子、福永年久、有田アリコ
監督 柴田剛
製作:志摩敏樹
原案:仲悟志
撮影:高倉雅昭、竹内敦
録音:森野順
編集:市川恵太、鈴木啓介、熊切和嘉、柴田剛
音響効果:宇野隆史
音楽:world’s end girlfriend、バミューダ★バガボンド